研究概要 |
本研究では三つの課題に取り組み,それぞれ下記に示す成果が得られた。 I チオール自己集合単分子膜の脱離によるマイクロ電極集合体の調製 長鎖アルキルチオールの自己集合単分子膜で被覆した金電極をシアンイオン水溶液に浸漬すると,アルキルチオールの部分的な脱離が起こり,脱離した部分がマイクロ電極として働くことを見出した。そして電極全体としてはマイクロ電極集合体としての機能を有していることを見出し,その特性を詳細に調べた。 II 機能性を有するチオール自己集合単分子膜の電気化学特性 末端にレドックス部位を有するアルキルチオールの単分子膜で被覆した電極が示す特異的な電気化学特性を,理論的に解釈できることを証明し,その理論が実験的に求められた測定結果と一致することを立証した。さらに,チオニン誘導体を有するチオールの単分子膜で被覆した電極を用いてNADHの酸化反応を行い,自己集合膜の電極触媒能に対する影響を調べ,その理論的な解釈も行った。 III チオール自己集合単分子膜への酵素の導入とバイオセンサーへの応用 グルタルアルデヒドを架橋剤に用いることにより,末端にアミノ基を有するチオールの自己集合膜で被覆した電極に,種々の酵素を固定できることを見出した。この方法を利用してコレステロールオキシダーゼおよび尿酸オキシダーゼを固定した電極を調製し,それぞれがコレステロールセンサーならびに尿酸センサーとして機能することを明らかにした。
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