研究課題/領域番号 |
08455458
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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研究分担者 |
松方 美樹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80307488)
鄭 主恩 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90307489)
菊池 明彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40266820)
青柳 隆夫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40277132)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 温度応答性高分子 / ハイドロゲル / マクロモノマー / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / グラフトゲル / ポリエチレングリコール / 薬物送達システム / ポリ(N-イソピルアクリルアミド) / 温度応答性ゲル / グラフト型ゲル / 高速収縮 / 疎水性凝集 / 水の透過経路 / 人工筋肉 |
研究概要 |
PIPAAmから構成される三次元網目のなかに、自由な運動性を有するPIPAAmグラフト鎖を導入した、新規な構築構造を有するPIPAAmハイドロゲルを合成した。このハイドロゲルは通常の三次元網目構造のみからなるハイドロゲルと比較して、温度変化に応答してきわめて速い体積変化を引き起こすを見いだした。 この新たに設計したグラフト型ゲルを用いて薬物放出の制御を検討した。相転移に基づくこの大きい体積変化に伴う内部の水の放出挙動を調べると、通常のゲルでは収縮初期に放出速度が一時的に上昇し、その後放出速度は小さくなりやがて完全に停止してしまうのに対し、グラフトゲルはパルス的にゲル内のほとんどの水を放出した。通常のゲルにおいては、前述のように表面にゲルをスキン層を形成するために、ゲル内部の水の透過を抑制される。これは網目の自由度がもっとも大きいゲル表面の高分子鎖から収縮が起こるために表面で脱水和装層が形成されるためである。一方、グラフトゲルにおいては網目中に導入したPIPAAmグラフト鎖は表面のみならず内部にも存在する。この自由な運動性を有するPIPAAm鎖は、温度変化させたときにゲルの表面のみならず内部でも凝集が起こる。凝集した疎水性PIPAAm鎖は、疎水性相互作用により網目間に高い凝集カを働かせ、結果としてゲルは急激に水を放出させたものと考えられた。 前述のように、相転移温度以上に加温したとき、PIPAAm三次元網目のみからなるハイドロゲル表面には、水の透過も妨げるスキン構造が形成される。このスキン構造に水の透過経路を確保すれば、ゲルの収縮時のも内部からの水の流出が可能となると考え、PEGの導入を試みた。このゲルを用いて温度変化させたときのゲルの収縮挙動を検討した結果、このゲルは先に述べたPIPAAmグラフトゲルに匹敵するような素早い体積変化を生起した。この速度はPEGの導入率に依存することも明らかにした。PEGの導入率が低いと、ゲルの収縮過程で、ゲルは白濁することが観察され、スキン層形成は完全には抑制されず、従ってゲルの収縮も遅いものとなった。PEGの導入率を増加させると、素早い体積変化を示した。
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