配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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研究概要 |
次世代超音速旅客機の空力課題として摩擦抗力の低減を狙った超音速翼境界層の層流化技術が注目されている.本研究はこの層流化技術の開発に必須の基礎知識を開拓することを目的として行われ,次の成果が得られた. (A) 超音速境界層の受容性:主流マッハ数M_1=2.2の超音速境界層の受容性に関し,境界層壁の局所領域にu=F(x)exp(-iωt)の流れ方向変動速度を与えたときの境界層の応答を計算した.励起TS波(波数α_<TS>)の振幅はF(x)のフーリエ変換のα_<TS>成分に比例し,非圧縮流の1/10程度で極めて小さく,層流維持に有利である.入射マッハ波に対する受容性も計算し,応答が強制解に支配され,同次解(TS波)が無視できるほど小さいことを示した. (B) 超音速付着線境界層における撹乱の成長:超音速後退翼前縁の付着線(アタッチメントライン)境界層を計算で把握し,境界層に強い周期的噴流を導入した場合の斜行渦の消長を計算で追跡し,亜音速境界層を遷移に導くΛ渦と同様の渦が現れることを示した. (C) 流線曲率不安定と横流れ不安定:後退翼境界層に関し,流線曲率不安定を見出し,横流れ不安定と流線曲率不安定について点源撹乱の発達過程を調べ,分散関係を利用した撹乱同定法を提案した.次に,点源撹乱の成長において,横流れ不安定の定常成分と非定常成分(進行波)からなる楔状撹乱領域の形成過程を明らかにした. (D) 加速境界層における亜臨界遷移:付着線境界層の亜臨界遷移の抑制法を検討するため,強い撹乱による亜音速境界層の遷移を実験的に調べた結果,境界層を加速させ,主流動圧と運動量厚さで無次元化した順圧力勾配の値を-4.5×10^<-3>程度にすると,亜臨界遷移の下限レイノルズ数(運動量厚さに基づく)は,零圧力勾配の場合の約130に対し,約300に達し得ることを示した.
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