研究概要 |
499トン型小型船の新しい機関室構造を検討した.モジュール化した大型機器を搭載するために,機関室上部の甲板に開口を設け,機関室内の空間を確保するための構造を提案した.さらに,機関室上部の船橋構造は主船体とは独立構造として,機関室の建造作業終了後,クレーンで一体搭載し,主船体と船橋は支柱で連結する.このような機関室構造及び船橋構造にすれば,建造時並びに機関室機器類の修繕時においては,船橋構造は船体から撤去して機関室上部の開口からモジュール化された機器の一括搬入・撤去が可能となる. この新しい機関室構造及び船橋構造では,構造の剛性の低下により,振動及び騒音の問題が新たに生じる恐れがある.第二甲板を有する構造と有さない構造の2タイプのモデルに対して有限要素法による数値シミュレーションを行った.機関室内に複数の柱を設けることにより,振動を抑制することが可能になることが判明した.以下にその結果をまとめる. ・第二甲板を有する構造 柱数を,「0,4,6,8,9」と変化させた.エンジンの振動数,プロペラの振動数,発電機との共振を避けるためには,6本〜9本の柱数が適切である. ・第二甲板を有さない構造 柱の数を,「0,4,6,7」と変化させた.7本の柱数が適切である.船側などに柱を設置することにより,十分な強度を有する構造を得ることができる. また,実船計測を行いアンカーテストにおける加速度の測定を行った.加速度計は船尾部に1つ,船首に1つ,船体中央部に3つ設置した.この計測結果と数値解析結果も良い一致を示しており,本研究結果の妥当性が評価された.
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