研究概要 |
本研究では,海底地震による浮体に働く影響,いわゆる海震について,種々の数値計算的アプローチによって,解析・検討した。その結果得られた知見を以下のようにまとめる。 1.二次元的アプローチにより,浮体,海面,海底の相互干渉による固有値問題の固有点で,海震荷重に共振点が存在することが分かった。 2.海底に堆積している層の音速が増加すると海震の共振点間隔が狭くなる。 3.海底の堆積層厚さが増加すると海震の共振点間隔が狭くなる。 4.堆積層が粘土状でその厚さが薄い海域に浮体を設置した方が免震上有利である。 5.三次元海震荷重は波動の拡散によって二次元より低くなる。 6.直下型の海底地震で浮体は大きな荷重を受ける。 7.時間領域解析によって,地盤の過渡振動の際に共振周波数以外でも瞬間的に大きな海震荷重を受けることがある。 8.海震の共振周波数と浮体の弾性変形の固有モード値が一致したとき,浮体は大きな弾性挙動をする可能性がある。 海震は本来,三次元的有時間現象であるので,本研究を通して得られた知見を下に,今後これに対応する研究を遂行する必要がある。本研究で開発した二次元時間領域計算プログラムでは,計算時間に問題があり,さらに、高速化を図った後,詳細な検討を加え,その上で三次元問題にアプローチする必要がある。 本研究が海震現象の解明の糸口になったと確信している。
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