研究概要 |
近年,高レベル核廃棄物の地層処分などを目的として,地下構造物の構築・利用が注目され、対象岩盤の長期安定性の評価が重要になっている。 本研究では,その一環として岩石のクリープ破壊現象および破壊機構をより明確なものとすることを目的とし,荷重ー時間ーひずみ挙動の観測を行う一般的なクリープ試験,クリープ過程における岩石内部の空隙の変化や微小き裂の進展の顕微鏡観察およびクリープ過程と通常の一軸圧縮破壊との関連性を検討する一連の試験を実施した。 クリープ試験は,来待砂岩,秋吉大理石,荻野凝石灰,栗橋花崗閃緑岩について行った。これらの岩石における試験結果から,クリープ過程は,従来,1次クリープ,2次クリープ,3次クリープに区分されていたが,2次クリープはさらに軸ひずみ速度の最小値を境に2つに区分されることが確認された。 一軸圧縮過程における岩石内部の破壊の進行状況を把握するため,顕微鏡薄片を作製し,き裂や空隙の変化について観察した。その結果,各岩石で固有の組織・構造を持つため,岩石に適合したき列検知剤を用いる必要があることが分かった。顕微鏡観察の結果では,栗橋花崗閃緑岩でのクリープ過程において発生するき列のタイプは主に粒内き裂であるが,次第に粒間き裂が増加していく様子が確認された。 また,クリープ過程と一軸圧縮過程との関連性について調べるため,クリープ試験から一軸圧縮試験に移行する試験を行った。その結果,クリープ試験において最小軸ひずみ速度点に至る前に,一軸圧縮試験に移行した場合には,残存する圧縮強度の低下は試られず,最小軸ひずみ速度点の経て,軸ひずみ速度が増加する過程に進んだ場合には残存強度は低下することが分かった。
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