研究概要 |
秋吉大理石,白浜砂岩,ベレア砂岩の3種類の岩石に対して,3軸圧縮試験を行い,試験時の供試体中央断面における半径変位分布を破壊後を含めて測定することにより,横方向変形の進展と分布について検討した,半径変位の計測には,試料の周囲に30度毎に取り付けられた12本のカンチレバ-型変位計を用いた.測定した半径変位をフーリエ級数により近似し,任意方向の変位を定量的に表現した.まず,岩石の横方向変形成分を等方変形成分,異方変形成分,平行移動成分,せん断面に沿う滑りに伴って生じる横ずれ成分に分離し,横方向変形の進展に付いて検討した.その結果,弾性領域から塑性領域に入ると等方的変形が明らかに卓越し、延性的に変形が進行すること,また,急激な応力低下が見られると、等方的変形は停滞し、破断面に沿うすべりが支配的になることが定量的にわかった。さらに、測定断面の平行移動は実験開始直後から生じていることや、異方的変形が強度破壊点近傍からは現れることもわかった。次に,最大横方向変位に着目して横方向変形の進展に付いて検討した結果,延性的な秋吉大理石では,供試体の全体破壊による等方変形が破断面にそったすべりによる変形を大きく上回ることがわかった.一方,白浜砂岩では,等方的な変形と破断面にそったすべりによる変形が同程度であり,軸ひずに対する最大横ひずみの比は側圧にかかわらずほぼ一定になることがわかった.さらに,最も脆性的なベレア砂岩では変形の大部分が破断面にそったすべりとなるため,軸ひずみに対す最大横ひずみの比は側圧にかかわらずほぼ一定になることがわかった.最後に,岩石の変形はその内部の破壊によってもたらされる部分が大きいことから,秋吉大理石についてX線CTスキャナを用いて試料内部のCT値の分布を測定し、横方向変形との相関について検討を行った。その結果,軸ひずみの進展に従って内部のCT値が減少し、破壊の卓越する方向に直交して破断面が形成されることがわかった.
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