配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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研究概要 |
低水温に対する水稲の生育・収量反応を明らかにするために,栄養生長期,生殖生長期(以下,栄養期,生殖期),登熟期の3時期に圃場条件下で冷水掛け流し処理を行った。なお,水温条件は16〜25℃であった。収量は生殖期処理区において最も大きく抑制された(48〜100%)。減収の主因は稔実歩合の低下で,水温16℃においてはいずれの品種も0%となった。水温約19℃においては極めて大きな品種間差が認められたが,これを乾物生産,光合成速度,葯長の違いからから説明することは困難であった。また,幼穂形成期および穂孕期に行った断根処理も稔実歩合およびその品種間差に大きな影響を及ぼさなかった。乾物生産はいずれの時期も処理によって抑制されたが,その程度は栄養期で大きく,収量が激減した生殖期では逆に最も小さかった。栄養期,生殖期においては葉面積,受光量が大きく減少したのに対し,日射利用効率は大きな影響を受けなかった。一方,登熟期においては日射利用効率が明らかに抑制された。栄養期処理区において比較的大きな葉面積を示した品種が他の品種よりも有意に高い乾物生産を示した。平均光合成速度の抑制程度は比較的小さかったが(5〜15%),栄養期,生殖期の処理期間中にはその反応に大きな変動が認められた。すなわち,処理開始後2週間以内には比較的大きく抑制されたのに対し,2週間目以降には処理区がむしろ高い値を示す場合がみられるなど,光合成の抑制程度は小さくなった。この変化は作物の水分状態や気孔コンダクタンスの反応を反映したものと推察された。また,低水温は,乾物増加当たりの窒素吸収能力および吸収窒素当たりの葉面積展開能力をともに抑制したが,乾物生産への影響は葉面積展開能力の方が大きいことが示された。
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