配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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研究概要 |
今後増加する人口に安全で良質な食料を供給していくためには,作物の生産力を一層向上させるとともに,土壌の保全や生物多様性の維持など環境への負荷の低減をはかった持続的な作物生産システムを構築する必要がある.本研究では,生物生産力の向上と生物多様性の活用をキーワードとして掲げ,二三の基本的な問題の解明を行った. 生物生産力の解明では,炭素収支に影響を及ぼすシアン耐性呼吸がもつ生物学的意義の解明や水稲の穂重増加速度を構成する乾物重増加速度と転流速度の支配要因の解析をおこなった.また,従来の草型とは異なる水稲の穂重型形質の有効性について新たな知見をえた. 生物多様性の解明では,微生物の作物生産への活用に向けてリン酸の動態に関連した問題をとりあげた.野草は栽培植物に比べてリン酸欠乏に対して優れた能力を有すること,AM菌をはじめとする微生物相が圃場や輪作の体系によって質的量的に変化することが示された. また,土壌に存在するバイオポアの作物生産への活用の可能性について検討した.圃場でのバイオポア調査のための画像解析を用いた汎用性の高いバイオ手法を確立した.比較的大型のバイオポアは高い率で作物の根の伸長に利用されることが明らかになったことから,深根性の作物を用いた作付体系やミミズの利用などの有効性が示唆された. 持続的な作物生産システムの確立のためには,今後も生物生産力の向上に大きな余地が残されているだけでなく,土壌の生物の活用には多様な可能性があると考えられた.
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