研究概要 |
高夜温(37℃)処理を3日間継続すると,セイロンベンケイソウとコダカラベンケイソウはCAM型光合成からC3型光合成へガス交換の日変化を転換する.本研究においては,高夜温処理によるCAM型光合成の消失機構を解糖系に焦点をあてて調査した.2種類のベンケイソウから得たATP-PFKの活性の最適温度は35℃,パインアップルのPPi-PFKは40℃まで活性を増大させ続けた.最適pHは,ベンケイソウのATP-PFKでpH7.6,パインアップルのPPi-PFKはpH7.2とpH7.6の2ヶ所に至適域を有していた.パインアップルのPPi-PFKについて等電点は,昼型(17:00採取)ではpH4.88およびpH5.34,夜型(24:00採取)ではpH4.80であった.DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィー上でパインアップルのPPi-PFKは昼夜供に2つのピークとして単離された.それぞれのタンパクをゲル濾過クロマトグラフィーで溶出すると,それぞれ14分前後と12分前後で溶出した.特に夜間に抽出したイオンクロマト上で荷電量の大きなタンパクは,上述した2種類のタンパクに分離した.ベンケイソウにおいては高夜温条件下でPEPカルボキシラーゼの活性化物質として知られるグルコース6-リン酸の夜間での増大が抑制されるた.以上のように,CAM型光合成の制御に解糖系が関与していることが示唆された.
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