研究課題/領域番号 |
08456033
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
河野 義明 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (10225386)
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研究分担者 |
仁科 正実 (仁科 正美) 埼玉医科大学, 医動物学教室, 講師 (00183541)
高橋 正和 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (00109969)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | トレハロース / トレハラーゼ阻害剤 / バリドキシルアミンA / ゴキブリ / バッタ / 飛翔 / 生殖 / 殺虫作用 / ワモンゴキブリ / トノサマバッタ / アブラムシ / 卵発育 / ビテロシェニン |
研究概要 |
バリドキシルアミンA(VAA)は特異的でしかも強力なトレハラーゼ阻害剤である。一方、昆虫は血糖として高濃度のトレハロースを体液中に保持しており、各器官、組織はそれぞれが持つトレハラーゼによってこれを分解してエネルギー源として利用している。私共は、VAAを昆虫に投与して起きる致死的生理異常を解明して、それが害虫防除に利用できないかを検討している。これまでに、VAA投与によってりんし目昆虫の変態異常、カイコの休眠性の変化、バッタ、ゴキブリの生殖の抑制が起きることを明らかにした。ここでは主に、VAAの昆虫の生殖に及ぼす阻害作用とその機構についての結果をまとめた。 ワモンゴキブリ、クロゴキブリでは1回のVAA投与により卵の発育が抑えられると同時に卵鞘形成に異常が起き、長期間増殖が停止する。しかし、チャバネゴキブリではこのような作用は強くなく、種によってVAAの活性に違いがあることも判明した。ワモンゴキブリではVAA投与後各器官のトレハラーゼ活性が強く阻害され、脂肪体でのヴィテロジェニン合成が阻害され、その後、卵でのヴィテロジェニンの取り込みも抑えられる。トノサマバッタでも同様にVAAによりヴィテロジェニンの合成と取り込みが抑えられるが、同時に、卵発育を促進する幼若ホルモンの合成も抑制される事も明らかになった。 VAAを投与した雄のワモンゴキブリと正常な雌をペアにして飼育すると、雌の卵発育は正常に準むものの、卵鞘形成が阻害される。このことから、VAAによって雄の生殖機能も影響を受け、受精が正常に行われないと推測される。 昆虫の雄生殖付属腺には多量のトレハラーゼが存在している例が知られていることを考え合わせると、VAAの昆虫生殖に及ぼす影響は、生殖器官がトレハラーゼ阻害剤を害虫制御に利用する際の重要な作用点であることを示している。
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