配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
|
研究概要 |
まず,本邦産いもち病菌菌株の遺伝的特徴付けを目的として,DNAフィンガープリント解析とパルスフィールドゲル電気泳動法による特徴付けを行った.7種の日本判別菌糸と1974年以降に各地で分離された,様々なレースの17株の圃場分離株を,MGR586とpMG6015をプローブとして用いて解析した.ブートストラップ解析の結果,すべての菌株は5種の系統に分けられた.このうち,JBLA-K04には,すべての圃場分離株が属していた.電気泳動核型解析により,いもち病菌の核型が同一系統内でも多様であり,同じレースの菌株ごとに特徴があることが示された.さらに142の多様なレースの圃場分離株を解析したところ,JBLA-K04とJBLB-K33に相当する,それぞれ127及び15株からなるクラスターを形成し,病原性レースと遺伝的なバックグラウンドのとの間に特別な関係を見いだせず,病原性レースの変化は染色体再編成を含む様々な突然変異によることが強く示唆された. 一方,いもち病菌Ina168の染色体長変異の解析を行った.この変異は1回の単胞子分離において12.5%の高頻度でα→α'の方向にのみ起こること,v染色体は核型αのバンドIIIbの一部が欠失することにより生じたことが示唆された.また,酵母等で染色体の不安定性に関連しているrDNAのこの染色体長の変異への関与を確かめるため,rDNAのクローニングを行った.rDNAはBandIIIbに座乗しており,その反復単位は約8kbであった.rDNAクラスターの長さを親株と変異株の間で比較したところ,ほぼ同じであり,rDNAの再編成がこの染色体長変異の原因でないことが示された.また,JBLA-K04に属する圃場分離株115株のうち,代表的な菌株47株を用いて解析したところ,rDNAの座乗する染色体長の著しい多型は検出されなかった.従って,圃場分離株においても,rDNAは染色体再編成に深く関与していないことが示唆された. 本邦産の菌株による交配系を確立し,この交配によりいくつかのイネ品種に対する非病原性遺伝子の解析が可能であることが示された.イネ品種K59に対する病原性の分離は,これまでに29株の解析が終了し,病原性:非病原性は8:21となった.
|