研究概要 |
ペプシン・ファミリーのアスパラギン酸プロテアーゼのうち,AspergillusやPenicilliumの酵素は酸性側でトリプシノーゲンの活性化能をもつ.この分子機構を明らかにするため,アスペルジロペプシンエのcDNAに部位特異的変異を与え,酵母,大腸菌で発現させた変異酵素の研究から,トリプシノーゲン活性化反応に必須の残基はD76であることを明らかにした.さらに,トリプシノーゲン活性化能をもたないブタペプシンのcDNAに部位特異的変異をる与え大腸菌で発現させた二重変異酵素T77D/G78〔S〕S79はトリプシノーゲン活性化能を獲得した.かくして,アスパラギン酸プロテアーゼの2触媒機能性の分子機構を世界に先駆けて解明した. Aspergillusセリンカルボキシペプチダーゼは9ヶ所のN-グリコシル糖鎖結合部位を持つ.糖鎖欠損のN212QとN371Q変異酵素はそれぞれ活性が激減し,N347Q糖鎖欠失酵素は細胞外で部分分解を受けた.活性中心(S153, D357, H436)に近い上記3残基の糖鎖は活性に大きな影響をもつことを明らかにした. Aspergilus 1,2-α-マンノシダーゼcDNAに部位特異的変異を支え酵母で発現させた変異酵素の活性に大きな影響を与えたカルボキシル基5残基を明らかにした. Aspergillusプロチロシナーゼ遺伝子(melO)のcDNAに部位特異的変異を与え酵母による発現で得た変異酵素の活性は、ヘモシアニンに相当するCu(A)に配位する3残基のヒスチジンの外1残基のシステインが活性に関わることと,同じくCu(B)に配位する3残基のヒスチジンの外に1残基のヒスチジンが関わることを明らかにした. 活面活性剤耐性のズブチリシンALPIの遺伝子aprQにpH12のアルカリ性耐性のズブチリシンSendai遺伝子AprSのC末端領域を交換しBacillusで発現してキメラ酵素は,海面活性剤耐性とpH12のアルカリ性耐性の両性質を共に備えた機能増強酵素であることを明らかにした.
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