研究課題/領域番号 |
08456079
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
二井 一禎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50165445)
|
研究分担者 |
津田 盛也 京都大学, 農学研究科, 教授 (10026578)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
|
キーワード | マツ材線虫病 / アカマツ / クロマツ / ヒメヤシャブシ / 共存樹種 / 菌根菌 / 窒素固定微生物 / 菌根菌菌根形成 / 土壌中窒素 / 共生樹種 |
研究概要 |
野外調査の結果、ある林分において共存するヒメヤシャブシの密度が高いとクロマツ、アカマツの枯死率が高くなる傾向が示唆された。これは、ヒメヤシャブシの根に共生する窒素固定能のある微生物が土壌中の窒素濃度を上昇させ、そのことにより共存するクロマツの菌根形成が阻害されるためと考えると理解しやすい。今年の調査では、まず、この点に関する野外でのさらに多くの情報を集めるため、ヒメヤシャブシの密度の異なる2つのプロット内にアカマツとクロマツの苗を植えておき、その生存率の変化と菌根形成状態を比較した。アカマツ、クロマツとも苗の生存率はヒメヤシャブシの密度の高いプロットで低くなり、調査終了時には際だった違いを見せた。 共存樹種の違いがマツ類のマツ枯れによる枯死率に影響するか否かを判定するため要因を人為的にコントロールした実験室条件下での比較が必要である。このような視点から、温室内で、鉢植え苗木を用いマツ類の菌根形成に対する共存樹種の影響を調べてみた。しかし、今回の調査期間内には共存樹種(ヒメヤシャブシとヒサカキ)の違いはクロマツ苗の菌根形成には影響を与えなかった。しかし、この実験を通していくつかの知見が得られた。そのひとつは、菌根菌接種によりアカマツ、クロマツとも地上部、地下部相方の生長が促進された(乾燥重量が増している)点である。これは、菌根菌接種により根端数が増え、それが菌根化し、栄養吸収を促進したためと考えられる。マツ類実生苗の初期生長における共生菌根菌の働きの重要性を示唆するものである。また、病原線虫を接種しながら生き残ったマツ苗の菌根形成が著しく阻害されるという現象を見いだしたが、これが普遍的な現象なら、この病気のメカニズムを考える上で興味深い知見である。
|