研究課題/領域番号 |
08457013
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
塩坂 貞夫 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90127233)
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研究分担者 |
吉田 進昭 大阪府立母子保健総合医療センター, 部長 (10250341)
吉田 成孝 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (20230740)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ニューロプシン / 蛋白分解酵素 / 形態形成 / 細胞接着 / 細胞離反 / 海馬 / 皮膚 / プラスミノーゲンアクチベータ |
研究概要 |
形態形成には個々の細胞の発生初期から個体にいたるまでの細胞間結合と離反とが細胞分裂・移動・定着・分化(突起伸展、目標認識、機能発現などを含む)の各過程で微妙に制御される必要がある。そこで本研究の目的は細胞間の結合と離反に関係するとみられる蛋白分解酵素ニューロプシンをin situハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学により明らかとし、それぞれの組織から得た初期培養細胞を用いた細胞移動と細胞内カルシウム変動を時間分解顕微鏡(共同利用施設に現有)・蛍光画像解析装置(当研究室に現有)によって検討した。ニューロプシンに関しては我々のデータから、これらの遺伝子発現細胞は発生途中にある中枢神経系、皮膚、胸腺等に豊富に存在することから、遺伝子プローブを用い、in situハイブリダイゼーションによって遺伝子発現を観察し、胎生18日から海馬、胎生15日から皮膚各部位にその発現を認めた。次に、ニューロプシンに対する抗体を用いた免疫組織化学によって正確な分布を調べ、これらの蛋白質を有する皮膚ケラチノサイトを同定した。また、神経細胞(海馬)、皮膚ケラチノサイトを初期培養し、現有するニューロプシン蛋白質を添加してこれらの細胞の形態変化・移動能・細胞内カルシウム変動の3つのマーカーについて検討した。ニューロプシン蛋白質の添加によってファイブロネクチン発現細胞であるCHOcellにおいて細胞の形態変化およびファイブロネクチンをコートした培養皿での移動能が低下した。以上のことから、さらに検討する必要があるもののニューロプシンは細胞外マトリックス蛋白を変化させることにより細胞の形態、移動能を変化させるものと考えられた。しかし、ニューロプシン添加による細胞内カルシウム変動は観察されなかった。 また、ニューロプシン遺伝子欠損マウス作成を行った。現在までの観察では、皮膚においては皮膚切開後の治癒過程での遅延、海馬においてはニューロプシンmRNAが最も密に見られた海馬において錐体細胞の形態異常が認められ、現在電気生理学的、行動学的検討を行っている。 以上の結果、ニューロプシンは皮膚・神経組織ともに組織形成・細胞移動において重要な機能蛋白質であることが推察された。今後、さらに動物個体レベルでのニューロプシン機能解析を行うことが必要であろうと考えられる。
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