配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
ラット心臓(in situ)にマイクロダイアリシス法を応用した研究により,100μM ATP供給下で得られる透析液中のアデノシン濃度は,心室筋のエクト-5′-ヌクレオターゼ(5′-NT)活性の指標となることが初年度の研究で明らかとなった。昨年度はこの実験系を用い,心室筋のα_1受容体を刺激するとPKCが活性化され,これが5′-NTを活性化することにより間質のアデノシン濃度が増加することを見出したため,今年度は虚血によって蓄積することが知られている両親媒性の虚血間連脂質中間代謝体の一つであるリゾフォスファチジルコリン(LPC)がPKCの活性化を介してアデノシン産生を促進するか否かにつき検討し,次の結果を得た。1)25および50μMのLPCはラット心室筋間質のアデノシン濃度を,対照のそれぞれ122.7%,158.6%へと有意に増加させた。2)PKCの阻害薬chelerythrine(200μM)が存在すると,これらのLPC作用は完全に消失した。これらの所見はin situのラット心臓においてLPCがPKCを介して5′-NTを活性化し,アデノシン産生を増加させていることを始めて明らかにしたものであり,虚血プレコンディショニングの発生に,LPCを介するアデノシン産生増加も一部関与していることを示唆する重要な所見を得たものと考えている。
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