研究概要 |
主な研究成果を以下に列挙する。(i)生理機能のまったく不明であった3型(脳型)リアノジン受容体のノックアウトマウスを作製と解析をおこなった(J.Biol.Chem.271,19649-19652)。3型受容体は骨格筋、平滑筋、リンパ球にも存在するものの、それらの細胞での生理機能上の異常も見られなかった。しかし、その変異動物の自発運動量は顕著に増加しており、3型受容体は中枢系の神経細胞におけるカルシウムシグナリングに必須であると示唆された。(ii)既に作製された1型(骨格筋型)リアノジン受容体欠損マウスの培養骨格筋細胞と正常なものとの比較から、ジヒドロピリジン受容体しリアノジン受容体の相互作用の検討をおこなった(J.Physiol.496,339-345)。骨格筋において、1型リアノジン受容体はジヒドロピリジン受容体の電位依存性カルシウムチャネルとしての機能を逆行性に調節することが明らかとなった。(iii)1型リアノジン受容体欠損の培養骨格筋細胞に、リアノジン受容体サブタイプcDNAを導入発現させ、カルシウムシグナリングの回復を検討した(EMBOJ.15,6172-6177)。その結果、骨格筋興奮収縮連関におけるカルシウムシグナリングには1型受容体のみが寄与できることと、2型受容体は骨格筋に発現すると電位に調節されない開口を起こすことが示された。 これらの研究により、1型及び3型リアノジン受容体の個体レベルでの機能をほぼ明らかにすることができ、骨格筋カルシウム動員機構におけるリアノジン受容体サブタイプの生理機能の差異についても示すことができた。
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