研究概要 |
われわれは、IL-6の核内ターゲットであるNF-IL6とSTAT3をクローニングした。その後、NF-IL6とSTATファリーメンバーのin vivoでの役割をノックアウトマウスを用いて研究している。 (1)NF-IL6関連遺伝子ノックアウトマウスの作製:NF-IL6β,IgEBP欠損マウスを得ることができた。NF-IL6βノックアウトマウスでは炎症性サイトカインや急性期蛋白質の発現に異常は認められなかった。細菌感染に対しても抵抗性であった。IgEBP欠損マウスは生後すぐに死亡した。現在、その死因を検討中である。 (2)NF-IL6標的遺伝子の探索:NF-IL6欠損マウスと野生型マウス由来の腹腔マクロファージをLPS+interferon γによって刺激したのち、正常マウスのマクロファージでは誘導されるがNF-IL6欠損マクロファージでは誘導されてこない、いくつかのcDNA断片をdifferentila display法によって得た。現在、完全長cDNAをクローニングしている。 (3)STATファミリーメンバーノックアウトマウスの作製:STAT3ノックアウトマウスは、胎生期の極めて初期に死亡し、原腸形成に至らないことが判明した。STAT3の胎生期の発現パターンがvisceral endodermに限定されていることより、STAT3ノックアウトマウスの死因は、胎盤の機能不全によると考えられた。STAT6ノックアウトマウスにおいては、IL-4,IL-13のシングナル伝達が障害され、STAT6がIL-4とIL-13のシグナル伝達に必須の分子であることが判明した。
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