研究概要 |
1.目的 中枢神経系の毛細血管は一層の内皮細胞とその外側を取り囲む基底膜からなり、さらにその外周をアストロサイトの足突起が覆っている。内皮細胞は、神経系と循環系との間の物質の輸送を厳密に制限する血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)を形成し、中枢神経系の恒常性を維持するために機能している。この関門には、隣接する内皮細胞同士のタイト結合が関与していると考えられている。本研究の目的は、アストロサイトがBBBに及ぼす影響を明らかにすることにある。 2.方法と結果 タイト結合を構成する分子は、ZO-1,ZO-2,cingulin,barmotin,symplekinなどが報告されているが、タイト結合の発達した脳の毛細血管内皮細胞では、他の内皮細胞に比べてoccludinの発現が高く、occludinがタイト結合の機能や構造に重要な役割を果たしていると考えられている。そこで、ラット肺毛細血管内皮細胞(RLE)にラットoccludinを強制発現させるために、ラットoccludinをクローニングし、pEF-BOS vecterを用いてRLEに導入した。得られたtransfectantを用いてnorthern blot,western blot,免疫組織化学、免疫電顕、フリーズフラクチャー、細胞電気抵抗、分子透過性などを検討した。その結果、occludinを導入したRLE細胞では多量のoccludin蛋白が作られ細胞膜に局在していたが、タイト結合のバリア機能(電気抵抗値、分子透過性)に変化は認められなかった。またZO-1には大きな変化は認められなかった。以上から、タイト結合機能発現には、occludinのほかに必須の因子の存在が示唆された。
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