研究分担者 |
近藤 信夫 (財)佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (40202072)
根岸 文子 (木原 文子) (財)佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (40177902)
山田 俊幸 (財)佐々木研究所, 細胞遺伝部, 主任研究員 (20183981)
米山 ひとみ (山元 ひと) (財)佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (30290977)
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研究概要 |
われわれは、マウスT細胞リンパ腫EL4にマウス線維芽細胞B82を融合すると、T細胞受容体(TCR)/CD3遺伝子の発現が抑制されることを見い出した(Mol.Cell.Biol.,13:1943-1950,1993)。本研究ではこの雑種細胞、およびマウスB細胞腫瘍S194にマウス胚性腫瘍F9を融合した雑種細胞を用いて、前者ではlckがん遺伝子、後者では免疫グロブリン(Ig)遺伝子の発現が抑制されることを見い出した。これらのT細胞特異的およびB細胞特異的な構造遺伝子発現の抑制は、それらの遺伝子のエンハンサー・プロモーターがその標的になって起こることが明らかとなった。そこで、これらのエンハンサー・プロモーターに結合するいくつかの血液細胞特異的転写因子の発現を検索したところ、前者の雑種細胞ではLEF-1,TCF-1,GATA-3,Ikaros/LyF-1,Elf-1,Fli-1,c-myb遺伝子の発現が著しく抑制されていた。また、後者の雑種細胞ではPU.1/Spi-1,Spi-B,F1i-1,c-Ets-1,Elf-1,Oct-2,OCAB遺伝子の発現が著しく抑制されていた。一方、前者の雑種細胞では、両親細胞に発現していたCREB,Sp1,AML1,c-Ets-2,E2A遺伝子の発現は抑制されなかった。また、後者の雑種細胞では、両親細胞に発現していたc-Ets-2,c-myb遺伝子、胚細胞にのみ発現していたId-1,Oct-3遺伝子は抑制されなかった。従って、非血液細胞には血液細胞特異的な転写因子の遺伝子発現を抑制することにより、血液細胞特異的構造遺伝子の発現を抑制する機構が存在するものと推測された。いくつかの試みにも拘わらず、現在までのところ、上記転写因子遺伝子の発現を抑制する遺伝子の同定には行きついていない。現在、TCRαあるいはIg遺伝子の最小エンハンサーをGFP(green fluorescent protein)に繋いだレポーター遺伝子をEL4あるいはS194細胞に導入し、GFPをTあるいはB細胞特異的に強く発現する細胞を作成している。今後、この細胞に線維芽細胞あるいは胚性腫瘍細胞のcDNAウイルスライブラリーを感染させ、GFPの蛍光強度が低下したクローンをFACSにて選別し、そこから血液細胞特異的遺伝子発現の抑制に関与する未知遺伝子の単離・同定を試みていくつもりである。
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