研究課題/領域番号 |
08457080
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
坂口 志文 東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究室長 (30280770)
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研究分担者 |
清水 淳 (財)東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究員 (60291134)
戸田 雅昭 東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究員 (10202201)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1997年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1996年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 自己免疫病 / 免疫的自己寛容 / T細胞性制御 / T細胞 / トランスジェニックマウス / 免疫制御 |
研究概要 |
正常マウス末梢CD4T細胞の約10%を占めるCD25(IL-2α鎖)発現T細胞を除去すると、ヒトの自己免疫病と免疫病理学的に酷似した様々な病変(胃炎、甲状腺炎、副腎炎、糖尿病、卵巣炎等)が高率に発症し、CD25+細胞を一定期間内に補えば病変発症は阻止される。これは、末梢における自己反応性T細胞の活性化・増殖が、他のT細胞による制御を受けており、その制御機構の破綻は様々な自己免疫病の直接的原因と成りうることを意味する。CD25+T細胞による自己寛容維持の分子的機序を解明するため、本年度はCD25+T細胞による抑制能を定量的に測定できる試験管内実験系を確立した。その結果、CD25+T細胞はT細胞レセプターに対する特異的、非特異的刺激に対して増殖反応を示さずアナ-ジックであった。さらにCD25-T細胞の増殖を細胞数依存的に抑制した。この抑制能はさまざまなサイトカインに対する中和抗体の添加、あるいはCD25+T細胞の培養上清の添加で解除できなかった。また低分子物質は通過させるが細胞を通過させない半透過性膜で仕切っても抑制はみられず、細胞間の接触が必要と考えられた。一方、CD25+T細胞のアナジー/抑制は高濃度のIL-2あるいは抗CD28抗体の添加で破ることができた。さらに抗原非特異的刺激と高濃度IL-2によって末梢T細胞を処理すれば自己反応性T細胞の活性化・増殖を促し、CD25+T細胞を除去しなくても自己免疫病を誘導できることがわかった。以上の結果は正常免疫系に自然状態でアナ-ジ-状態のT細胞が存在し、しかもそれらは抑制能を発揮することにより、免疫的自己寛容の維持に能動的に関与していることを示している。
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