研究課題/領域番号 |
08457090
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
中野 昌康 自治医科大学, 医学部, 教授 (70048958)
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研究分担者 |
富永 薫 自治医科大学, 医学部, 助手 (20265242)
切替 照雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (50192563)
紀伊 道里 (村田 道里) 自治医科大学, 医学部, 講師 (00012766)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1996年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | スカベンジャー受容体 / ノックアウトマウス / 感染防御 / LPS(リポ多糖) / nitric oxide production |
研究概要 |
スカンベンジャー受容体欠損マウスは、129/SvJマウス由来のES細胞を相同組換えによってスカンベンジャー受容体遺伝子を不活化することによって共同研究者の児玉龍彦博士らによって作成された。ES細胞をC57BL/6Jマウスブラストサイトに注入してキメラマウスを作成し、このキメラマウスをさらにICRマウスと交配し、ヘテロ接合体を得た。このヘテロ接合体の雄雌を交配させてホモ接合体であるスカベンジャー受容体欠損マウスを作成した。コントロールの正常マウスは、同様にヘテロ接合体のFlの正常ホモ接合体を用いた。これらのマウスは、2世代同腹交配した後、2つのグループ(ストックAとストックB)にわけて、異なった2施設で4から5世代交配させている。スカベンジャー受容体欠損マウスの腹腔マクロファージをスカベンジャー受容体に対する抗体で染色すると、正常マウスではスカベンジャー受容体タンパク質が強く発現していたが、ノックアウトマウスでは全く発現していなかった。そこでこれらの培養マクロファージをLPSで刺激した時に誘導されるサイトカイン産生を観察した。種々の濃度のLPSで刺激した場合、TNF、IL-1β、IL-6の産生の用量依存性は正常マクロファージとスカベンジャー受容体欠損マクロファージとでほとんど変化がみられなかった。LPS刺激によるNO産生をみると、ストックAのノックアウトマウスではNO産生量の低下がみられたが、ストックBでは、逆にNO産生がそれぞれのコントロールより亢進していた。同様なストックによる表現系の違いは、リステリア菌感染でも観察された。この場合、NO産生の違いなどを左右する因子は、スカベンジャー遺伝子ではなく、他の遺伝子の関与が疑われた。 マクロファージを酸化LDLやデキストラン硫酸であらかじめ処理すると、LPSやINFγ刺激によって誘導されるNOやIL-lβ産生が低下した。そこでノックアウトマウスのマクロファージをデキストラン硫酸で処理しLPSで刺激をした。コントロールマクロファージでは、用いたデキストラン硫酸の濃度に依存して、NO産生量が低下した。一方、スカベンジャー受容体欠損マクロファージもデキストラン硫酸の濃度に従って、NO産生が低下した。しかし、スカベンジャー受容体欠損マクロファージでのデキストラン硫酸の効果は、コントロールと比べて10倍以上弱かった。これらの結果は、LPS刺激によるNO産生がスカベンジャー受容体を介して制御されている可能性を示唆しているが、必ずしもマクロファージのスカベンジャー経路が単純ではないことが示唆された。このようなスカベンジャー受容体とLPSの結び付きの詳細はさらに検討される必要がある。
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