研究課題/領域番号 |
08457093
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 篤 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40152699)
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研究分担者 |
田川 優子 (坂井 優子) 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (40178538)
永井 美之 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20022874)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | センダイウイルス / パラミクソウイルス / リバースジェネティクス / V蛋白質 / C蛋白質 / 病原性 / 粒子形成 |
研究概要 |
パラミクソウイルス、センダイウイルスのゲノムには6個の遺伝子があり、それそれから一つのmRNAと蛋白質が産生される。しかしP遺伝子だけは例外的に複数のmRNAと蛋白質をコードする。P遺伝子の忠実な転写産物であるPmRNAとRNA編集機構を介して鋳型に依存しないG塩基を付加されたVmRNAがある。PmRNAからはRNA合成酵素の小サブユットであるP蛋白質とVmRNAからはV蛋白質が産生させる。これらの他にどちらのmRNAからも+1読み枠の異なる翻訳開始点を利用してC′,C,Y1とY2の小さな4蛋白質が産生される。遺伝子の重複利用によるこれらの産物の役割は、依然不明のままである。我々は近年確立したセンダイウイルスのリバースジェネティクスを用いて、ウイルス生活環におけるこれらの蛋白質の役割を明かにすることを目的とした。 V蛋白質はP蛋白質と共通なN末端とRNA編集によりできる特異的なC末端から成るそこで、RNA編集領域の改変とその直後のV読み枠に終止コドンを生成する置換をセンダイウイルスcDNAに加え、そこからウイルスを生成した。前者のウイルスはV蛋白質をまったく欠いており、後者のウイルスはV特異的C末端を欠いていた。どちらも培養細胞レベルでの増殖性は親ウイルスと同等であり、V蛋白質は非必須蛋白質であることが判明した。ところが、マウス個体に接種すると、親株が顕著な病変と高い体内ウイルス量を示すのに対してどちらの変異体とも感染早期に体内から排除された。V蛋白質、しかもそのC末端側部分が個体での病原性発揮にとって必須であることが明らかとなった。 C蛋白質においてはCの読み枠内に複数の終止コドンを生成する置換を加えたcDNAを作成し、そこからウイルスを生成した。C′/C欠損ウイルスとC′/C/Y1/Y2(4C)欠損ウイルスの二つを作成した。親株に比べてどちらも増殖力が劣っており、その差は特に4C欠損ウイルスで1/200であった。マウスの肺ではどちらもほとんど増殖せず、直ちに排除された。このことからC蛋白質は培養細胞では非必須であるが、ウイルス増殖量を高く保ち、かつ個体での病原性発揮にとっては必要であることが明かとなった。
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