研究課題/領域番号 |
08457117
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松下 敏夫 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10022790)
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研究分担者 |
胥 宝会 鹿児島大学, 医学部, 助手 (00264408)
青山 公治 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70117472)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1996年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | サイトカイン / 免疫毒性 / 産業化学物質 / 接触感作性物質 / RT-PCR / mRNA / ホルムアルデヒド / 評価法 / ELISA / リンパ球表面マ-カ / Flow cytometry |
研究概要 |
本研究では、我々は、サイトカイン活性およびその遺伝子発現の解析を重点に置き、産業化学物質特に職業性感作物質の免疫毒性を検討し、下記の成果が得られた。まず、強い感作性物質であるDNCB、塩化ピクリリト、オキサゾロンを用いて、Balb/Cマウスを感作し、所属リンパ節および炎症皮膚のサイトカインmRNA発現をRT-PCR法で検索した。感作後の3日目に、感作マウスのリンパ節ではTh1細胞サイトカイン(IL-2、IL-12、IFN-gamma)のみならず、Th2細胞サイトカイン(IL-4、IL-10、IL-13)も対照マウスと比べ有意に増加したことが認められた。また、アレルギーマウスの炎症皮膚において、IL-2、IL-4、IL-12とIFN-gammaのmRNA発現は対照マウスより有意に増強された。つぎ、上記の所見が感作性物質の共通な性質か否かを検証するために、弱い感作性物質であるホルマルアルデヒドを、マウスに17.5%ホルムアルデヒドを隔日に計3回で塗布し、リンパ節および脾臓での数種のサイトカインmRNAを検討した。その結果、最終塗布後の3日目より、マウスのリンパ節ではIL-2、IL-4、IL-12、IL-13とIFN-gammaとのmRNAsが著明に増加したことが分かった。脾臓においても、同様な傾向が見られた。また、2%ホルムアルデヒドで誘発したマウスの皮膚では、IL-4とIFN-gammaとのmRNAsを有意に誘導したことが明らかにされた。さらに、IL-12がマウスを用いた感作性試験のアジュバンドになるかを明らかにするために、我々は、感作段階でマウスにIL-12を投与し、接触過敏症およびサイトカイン産生への影響を研究した。IL-12を投与した感作マウスでは、非投与群より強い接触過敏症が耳介肥厚反応と組織学とのいずれにしても認められた。また、非投与群に比べ、投与群マウスの炎症皮膚とリンパ節ではIL-2とIFN-gammaのmRNA発現は非投与群より有意に増強されたのに対し、IL-4mRNAの発現はかなり抑制された。In vitroのPHA刺激に対し、投与群マウスの脾臓細胞が非投与群より強いIL-2、IL-4とIFN-gammaの産生を示したことが分かった。以上の結果より、本研究は産業化学物質の免疫毒性を評価する際にサイトカインの解析が有用な指標であることを示唆している。
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