研究概要 |
慢性関節リウチ(RA)等の自己免疫疾患の発症には,遺伝的素因と環境要因の二つが関与すると考えられている。多くの自己免疫疾患は環境、遺伝などの多数の因子が重なりあってはじめて疾患へと発展・展開するのであり,疾病の原因の根本的な解明と正しい治療の確立という観点に立つならば,複雑に入り交じった多因子相互作用の本体こそが解明されるべき最重要の課題であると言わねばならない。本研究は疾患の多因子相互作用の本体を解きほぐす糸口として疾患に関わる遺伝子を全染色体レベルで規定しこれを指標に多因子の病的絡みを解く新しい試みである。この研究には(1)全染色体を隈なく検索できるマーカー,(2)発症時すでに両親の死亡している可能性の高い自己免疫疾患家系を検索できる新しい遺伝学の手法,(3)検索を可能にする充分多数の患者数,(4)遺伝子工学に長けた研究手技,が要求されるが,私どもは全染色体にわたり平均10cM以下の精度で総計385箇所のマイクロサテライトマーカー部位を、患者同胞2名と健常同胞1名を1家系としてDNAを抽出しPCR法の遺伝子増幅を経て、ABI社PRISM377DNAシークエンサーで蛍光ラベルプライマーのサイズを決定してマーカーの共有度をIBDで表し、Risch, Holmansの展開になる同胞対検索法変法(1995年)を両親のDNAの得られない家系の検索に実際応用可能なアルゴリズムへと改良工夫し、実用可能なコンピュータープログラムを新たに作成して、その結果D2s165,D3s1565,D5s406,D5s424,D7s515,D8s556,D9s158,D11s898,D12s99 and D21s263部位にLod値の有意の可能性を見出し現在この中での疾患感受性部位を特定している。
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