研究概要 |
IL-4およびIL-12による末梢血の分化とACE産生誘導 ヒト末梢血よりT細胞を分離し、CD32,CD58,CD80などのcostimulatory moleculelを発現するマウス線維芽細胞であるL細胞と共にin vitroで6日間培養した.IL-2に加えてIL-4を添加した際には,細胞内のACE含有量は減少したが,IL-12を添加した際には, 逆にACE含有量は増加した.すなわちIL-12によるTh1方向への分化誘導により,T細胞はACE産生が亢進した.この現象は全身的肉芽腫性疾患であるサルコイドーシスにおいて,病変部でACE産生が亢進すること,ひいては血清ACE活性の上昇を説明することができる.ところがT細胞をCD4+細胞とCD8+細胞とに分離して,同じ系で検討すると,T細胞全分画を用いた時のようなIL-4あるいはIL-12によるACEへの影響は明確にはならなかった.このことはCD4+細胞とCD8+細胞が何らかの相互作用を及ぼし合う際に,初めてACE産生に影響が出現することを示している. ACE遺伝子およびTNF遺伝子多型の組み合せによるサルコイドーシスの予後の予知 我々は先にACE遺伝子のI/D多型は,単独で予後と関連することを見出した.一方,TNF β遺伝子のNcol多型も単独で予後と相関し,TNF α高産生であるTNFB*1対立遺伝子は,同じくTNFα低産生遺伝子のTNFB*2に比して,予後が遷延する.そこで両多型を組み合せ,計9通りの多型で予後どの相関を,Cox回帰分析にて検討した.その結果,最も予後の悪いACE:DD/TNFB*11は,最も予後の良いACE:II/TNFB*22に比して計算上ハザード比で100万倍予後が遷延することが明らかとなった.これらの指標は今後実際に臨床的に使用可能であろう. なお当初予定したHLA-DRB遺伝子タイピングは,現在実施途中でありまだ報告すべき内容となっていない.
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