研究課題/領域番号 |
08457248
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岩佐 博人 千葉大学, 医学部, 講師 (60203361)
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研究分担者 |
村上 敦浩 千葉大学, 医学部, 助手 (60272332)
長谷川 修司 千葉市環境保健研究所, 所長
菊池 周一 国立精神神経センター, 精神保健研究所, 主任研究員
古関 啓二郎 千葉大学, 医学部, 講師 (90170258)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1997年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1996年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | キンドリング / てんかん / G蛋白質 / Gs / Adenylate Cyclase / β-アドレナリン受容体 / in situ hybridization / 海馬 / mRNA / ノーザンブロット / adenylate cyclase / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
昨年度の研究では、G蛋白質サブクラスのうち情報伝達系における最も重要なものの一つであるGsの役割について中心に検討を行い扁桃核キンドリングモデルを用いた研究を中心に行い、最終発作後24時間の時点での両側大脳皮質および3週間の時点での右側(非刺激側)大脳皮質におけるGs α mRNAの有意な増大を認めた。この結果は、てんかん発作の発現とてんかん原性の維持にGs関連の伝達系が重要な意義を担っていることを示唆するものであるが、本年度の研究では、海馬におけるGsおよびその共役効果器分子のひとつとして重要なadenylate cyclaseの変化を中心に検討した。雄性SDラットを用い、連続10回の二次性全般発作が出現するまで左扁桃核にて電気キンドリングを行った動物を用いた。分析には32Pで標識したGsおよびadenylate cyclase TypeIIに対するoligonucleotide probeを用い、海馬より調整したサンプルについてノーザンブロット法により行った。その結果、最終発作後24にて両側海馬でGs α mRNAの若干の増大と、ACIImRNAの著名な増加が、最終発作後3週目に刺激側海馬のGs α mRNAの著名な増大、また両側海馬でACIImRNAの増大傾向が認められた。部分発作段階では、Gs,ACIIいずれのmRNAの発現量に著名な変化はみられなかった。これらの知見は本研究において初めて明らかとなった知見であるが、昨年度の大脳皮質におけるGsの変化とも考えあわせると、てんかんにおけるGsの役割が大脳皮質と海馬でことなっていること、また海馬のGsおよびACIIの量的・機能的変動がかならずしも時間的に相関しないことからそれぞれの変動にはより複雑な分子レベルでの制御機構が介在していることが想定される。さらに予備的段階ではあるがGsと共役するβアドレナリン受容体mRNAの変動について、in situ hybridizationによる検討を行っった結果、最終発作後3週の時点における海馬において著名な増大を認めた。以上より、今回の研究によって、G蛋白質関連伝達系の各段階における変化とてんかんの病態基盤との関連が総括的に把握することができ、てんかんの分子生物学的基盤の解明に大きく寄与できる成果が得られた。
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