研究概要 |
今回の研究で以下の結果を得た。 1.担癌時に認められるinsulin resistanceと骨格筋内TNFalphamRNAとの間に負の相関関係が認められた。これは、糖尿病でのinsulin resistanceのmediatorがTNFalphaであることが近年発見されているが、担癌時のinsulin resistanceのmediatorもTNFalphaが関与している可能性が強く示唆された。今回の検討ではRT-PCRの回転数を変えることでsemiquantitationを試みたが、さらに正確にこれを立証するためcompetitorを作成、裏づけを急いでいる。 2.胃癌細胞株(MKN28,45,STKM1,STSA)では全てでGlut1及びGlut4mRNAが認めめられた。免疫組織染色ではGlut4の染色性に強弱が認められた。glucose uptake assayでは4株でbasic uptakeが認められ、Glut4proteinを強発現するMKN28とSTKM1ではinsulin刺激による有意なuptakeの増加が認められた。更にbasic transportがglucose transporterによるものであることをcytokalacinによるuptakeの抑制試験を追加した。 3.人胃癌組織の免疫染色では、Glut1の染色性と深達度、脈管侵襲と有意に相関、Glut1の発現はGlut2,3,5の発現とも関連した。Glutの発現とKi67による細胞分裂能,apoptosisとの関連は認められなかった。PT-PCRによる検討では検討25症例全例で、Glut1mRNAが確認されたが、正常胃粘膜では、5例中1例で認められるに過ぎず、癌化によりGlut1mRNAを獲得している可能性が示唆された。平行して検討している、大腸癌でもある種のGlutは正常粘膜、hyperplasiaでは認められず、adenomaで出現、cancerでより高頻度に待つ源が認められることも確認している。 4.人胃癌組織でのGlut4mRNAは骨格筋組織とは異なり、単一のprimer pairではcoverできないことを発見した。sequenceになんらかに異常が生じている可能性もあり、これまでいくつかの方法で検討を重ねてきたが、その詳細は、いまだ突き止められていない。
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