配分額 *注記 |
8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1996年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
標準型CD44は10個のexonから構成されるが,さらに10個のVariant exon(vl〜v10)がalternative splicingにより様々な組み合わせで挿入され,多数の変異体が生じるとされている。これらのCD44 isoformは主に細胞接着分子としての役割を担っているが,癌の浸潤・転移にも深く関わっているとされている。われわれは,胃癌におけるCD44の発現を分子生物学的手法で客観的にとらえることを試み,その意義を臨床病理学的に検討した。さらに,術前内視鏡による生検材料の検索を行い,臨床応用の可能性について検討した。 標準型CD44 mRNA発現は腹膜播種性転移例で有意に増強していた。variant6を含む変異体(CD44v6) mRNA発現は,リンパ節転移例や遠隔転移例で有意に増強していた。CD44 mRNA発現と再発との関係では,CD44v6m RNA発現のみが有意に関連し,再発例,特に血行性転移例でCD44V6 mRNA発現増強が認められた。さらに,CD44v6 mRNA高発現例の予後は有意に不良であり,COX比例ハザードモデルを用いた多変量解析でCD44v6 mRNA発現は独立した予後因子となることが判明した。一方,術前の内視鏡生検材料の検索では,CD44v6 mRNA発現は同一症例の手術標本の発現とほぼ一致し,生検材料と手術標本の発現には有意な相関関係が認められた。 以上より,CD44は胃癌の浸潤・転移機構に深く関与することが示唆され、variantの出現により胃癌の生物学的特性が変化し、転移形質が変貌するものと考えられた。また,術前の生検材料におけるCD44v6 mRNA発現の検索は,胃癌の転移・再発予測に有用である可能が示めされた。
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