研究課題/領域番号 |
08457350
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 俊樹 大阪大学, 医学部, 助手 (50263257)
|
研究分担者 |
市川 肇 大阪大学, 医学部, 助手
正井 崇史 大阪大学, 医学部, 助手 (30273650)
今川 弘 大阪大学, 医学部, 助手 (90273622)
澤 芳樹 大阪大学, 医学部, 助手 (00243220)
竹谷 哲 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
鍵崎 康治 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
西村 元延 大阪大学, 医学部, 助手 (90291442)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
|
キーワード | 心肥大 / 心不全 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
まず、本研究の当初の目的である肥大心発生のメカニズムを解明すべく腹部大動脈-下大静脈瘻の容量負荷心肥大ラットモデルにおけるin vivoでの心筋細胞肥大の発生機序を検討した。容量負荷ラットはコントロールに比較して高度の心不全症状、心筋細胞の肥大が認められた。心筋肥大に先行し細胞内シグナル伝達系酵素であるMAPkinase、PKCの活性が認められた。さらに心筋細胞核における癌遺伝子C-Myc及びC-Fosの発現が心肥大発生以前に認められた。心不全時には、心筋細胞自体の障害とともに、その再生機能自身も傷害されていることが指摘されている。心不全時には、心筋細胞におけるβ2adrenergic receptorの密度とadrenergic agonistに対する親和性が著しく低下し、心機能低下の一因となっていることが報告されている。今回我々はHVJ(Sendai virous)-liposome法を心臓に応用し、心筋収縮力増強因子(β-2 adrenergic receptor(β AR)を不全心導入することによって、心機能の向上を認めることを確認した。また、心不全を生じた心筋細胞にはapoptosisが関与していることを認め、その制御が重要であることを示した。以上よりin vivoにおいても癌遺伝子や細胞内シグナル伝達系が心肥大の発生に関与していることが示唆され、分子生物学的手法、遺伝子工学的手法を駆使し、現在の内科的治療および外科的治療の限界を越えた重症心不全に対して心筋賦活化因子を導入することによって心機能を回復正常化しうる新しい外科的心不全治療が可能であることを示した。さらに、実際の人心筋細胞における心肥大時の遺伝子発現を検討した。左室容量負荷疾患である大動脈弁閉鎖不全において成人の心筋細胞には発現が認められないとされるC-Mycが心筋細胞核内に発現を認めた。さらに、C-Mycの発現と心筋細胞肥大、左室機能に相関が認められた。以上よりさらに左室ポンプ機能の低下ならびに左室収縮性の低下に遺伝子の発現が相関することが示された。また、重症心筋症患者の心筋細胞にはapoptosisの発現をみとめた。これらの研究の成果は今後の不可逆心における外科的遺伝子導入による心筋細胞機能回復に関する研究の礎となり、さらなる発展が期待できる。
|