配分額 *注記 |
7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
|
研究概要 |
同所性心移植でのグラフト保存の許容時間は,低体温保存下でも4-5時間が一般的である.虚血再灌流後に生じる浮腫は,保存心グラフトのviabilityに影響を与える.ヒアルロニダーゼは心臓リンパを積極的に誘導し,間質浮腫の軽減に効果があるといわれている.本研究では,まずglobal ischemiaにおいて,ヒアルロニダーゼの心臓リンパ動態におよぼす影響と心筋浮腫軽減効果を検討し,つぎに同所性心林植でグラフトのviabilityを総合的に評価した. 実験1.雑種成犬を体外循環下に30分の常温虚血後,30℃低体温を導入し,心停止60分を負荷した.その間4℃St.Thomas Hospital液を2回(1回20ml/kg)を順行性あるいは逆行性に冠灌流し,ヒアルロニダーゼ3000U/Lの添加の有無で4群に分けた.大動脈遮断前に対する遮断解除後心拍再開後のリンパ流量の比率は,順行性逆行性投与ともヒアルロニダーゼの添加により増加し,心機能,心筋内ATP値も維持された.左室心筋水分含有量は順行性逆行性投与ともヒアルロニダーゼの添加により低下した. 実験2.ビーグル成犬の心臓を,上下大静脈からの急速脱血後死体内で30分間常温で放置した.4℃のSt.Thomas Hospital液25ml/kgで冠灌流し,4℃生理食塩水で3時間単純浸漬保存した後,再度同液で冠灌流し同所性に移植した.冠灌流液へのヒアルロニダーゼ3000U/Lの添加の有無で2群に分けた.ヒアルロニダーゼの添加により,血行動態は体外循環離脱直後から良好で,離脱後2時間後の心筋内ATP値は高値を維持,心筋水分含有量も低値であった. ヒアルロニダーゼの冠灌流液5の添加により,心臓リンパは積極的に誘導されて心筋浮腫は軽減し,虚血再灌流後の心機能は良好に保たれた.心臓移植においてヒアルロニダーゼの使用は,心グラフトの保存に有用であると考えられる.
|