研究概要 |
中枢神経損傷においては,損傷部位のみならず線維連絡を持つ遠隔部位においても入力遮断による2次的損傷,神経細胞死が出現することが知られている.この2次的神経細胞死の機序を解明するため,損傷過程における細胞死に関する関与する遺伝子,栄養因子,レセプター,蛋白などの発現をラットを用い検討した. #ラットを用い,運動感覚野上硬膜外に興奮性アミノ酸を局所投与することにより同部に進行性変性を生じるモデルを作成.このモデルでは約2週間にて皮質4〜5層に変性が及び約4週にて皮質全体の変性が完成し,これと併せ2週目頃より同側の線状体背外側に二次的変性が生じてくる.この部位を中心に分子生物学的,免疫組織化学的検討を行った.この結果#1 TUNEL法にて2週目頃にアポトーシス細胞を認めた.#2 同時期にFGF,FOS,GFAPなどの有意な発現を認めた.またbc1-2の発現はなかったが,p53の有意な発現を認めた.#3mRNAのスクリーニングのため,DD-PCRを行い健側と比較したところ,患者でc-ABLの有意な発現を認めた. これらより,二次的変性過程にはp53を介したアポトーシスの関与が示唆された. 現在,DD-PCRの所見を更に分析中であり変性に関する因子の検索を行っており,併せin situ ハイブリダイゼーション法にての検討を行っている.今後,栄養因子,薬剤の投与によりこのアポトーシスを防げるか否かを検討する予定である.
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