研究概要 |
研究目的:重篤な敗血症(盲腸結紮穿刺)を異なった麻酔薬(ケタミン或いは異なった暴露時間を用いたハロタン)で施行したとき、マウスの突然変異種(C3H/HeJ,エンドトキシン抵抗性)と同じ遺伝子をもつ野生種(C3H/HeN、エンドトキシン感受性)とで、敗血症からの生存率曲線及び生存率がどのように異なるかを明らかにすること。 方法:盲腸結紮穿刺はケタミン筋注(107頭のマウス)かハロタンの吸入かいずれかで無作為に行った。ハロタン吸入群では、盲腸結紮穿刺の手術操作中のみハロタン吸入(15min)、手術後2hr,6hr吸入させるかいずれかに割り振った(それぞれ100,120,103頭のマウス)。実験は2種類のマウスとも8週齢、2群ペアで行い、敗血症にさらした後、毎日の生存率を10日後まで観察、各麻酔方法における生存率を2系統のマウス間で、また2系統のマウスそれぞれ4種類の麻酔方法間に生存率、生存曲線に相違があるかを多群比較で検定した。 結果:エンドトキシン抵抗性マウスはエンドトキシン感受性マウスに比較して、2時間ハロタン暴露群を除いて他の麻酔法では何れも敗血症による死亡が遷延した(P〈0.01ハロタン15min群の第1日、ハロタン6hr群2.5日、(p〈0.05ケタミン群の4・6日)。しかし最終的な生存率は両系統ともそれぞれの麻酔群で同じであった。先天的なエンドトキシンに対する感受性に関係なく、短時間のハロタン暴露が他の麻酔法に比し最も早く死亡し(p〈0.05)、ハロタン2時間暴露群が最良の生存率を示した。 結論:エンドトキシンに対する先天的感受性の差は、それぞれの麻酔法で敗血症の経過に影響を与え、麻酔方法は、両系統において生存率に影響を与えた。 今後の研究の展開:上述の結果がどのような機序によるかを現在TNFmRNAの組織中での発現から検討中である。
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