研究課題/領域番号 |
08457411
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 俊之 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90168360)
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研究分担者 |
八重樫 和宏 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (90254367)
橋本 悟 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90167578)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 微小循環 / 酸素分圧 / 酸素消費 / ガス輸送 / 拡散現象 / 輸送現象 / 蛍光顕微鏡法 / ビデオ顕微鏡法 |
研究概要 |
近年、急性の全脳虚血症例に対する「軽度低体温脳保護療法」が着目されている。本研究では、最近われわれが開発した蛍光薄膜酸素センサーを応用して脳表血管周囲の酸素分布を観測するシステムを確立するとともに、一過性脳虚血時における脳血流と脳組織酸素分圧の動態を軽微低脳温条件下で解析した。 この薄膜酸素センサーは、虚血を誘導したスナネズミ脳表面の酸素分布の二次元的変動を観測するのに有効であった。このデータを脳実質深部における血流や酸素代謝との関連で解析するため、スナネズミに短時間の全脳虚血を誘導し、脳温を33.5℃としたhypothermia(HT)群と37℃としたnormothermia (NT)群で平均的組織血流と組織酸素分圧を計測し比較した。組織の酸素分圧は血管からの酸素供給と酸素消費で決定されるので、供給と消費のバランスの指標となる組織酸素分圧/組織血流比(R)を求めたところ、虚血直後を除きHT群ではほぼ虚血前のRが維持されたのに対して、NT群ではRが単調に悪化した。これは虚血回復時の脳は軽微低温状態の方が酸素供給と消費がより良くバランスすることを意味し、3-4℃の脳温低下の有効性が確認された。 これらと並行して温度低下が微小循環に及ぼす物理的影響の評価を行った。まずラット腸間膜にて局所的温低下の影響を定量したところ、温度低下時には血液粘度上昇が血流を悪化させうることが判明した。脳虚血疾患の背後に血液粘度の上昇があることが多いので、脳浮腫の発生に注意を要するが、hemodilutionは脳血流改善に有効であろうと考えられた。また粘稠なモデル水溶液中で種々の温度について酸素拡散係数(DO2)の測定を行ったところ、血流低下と酸素消費減少のバランスが崩れるとDO2減少が脳の酸素化を障害する可能性が示唆された。
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