研究概要 |
パラフィン包埋された少量の生検標本より核DNA量,AgNORs,PCNAの測定を行うことが可能であるか試みたところ,核DNA量については細胞数の不足によりFlow cytometry(FCM)で判定不能のものが一部あったが,顕微蛍光測光法ではほとんどが判定可能であった.FCMは顕微蛍光側光法に比べ,短時間で客観的に測定できるという点で優れているが,単離できていない細胞集団や細胞片も1個の細胞として測定されてしまう点や,間質細胞の多寡によりヒストグラムが異なってしまう可能性が,短所としてあげられる.特に生検標本では検体量が少ないので,顕微蛍光側光法により検討を行う方がより正確な核DNA量の測定が可能であると考えられる. 腎細胞癌でも,一般の癌と同じように組織学的異型度が高くなるほどDNAの腫瘍内hetrogeneityが多くなる傾向が認められた。 また,生検と摘出標本で異型度が一致するのは約70%であるが生検でpolyploidかaneuploidであればG2である可能性が非常に高いと考えられる. AgNORs,PCNAについてはまだ十分な検討ができていないが検体量は核DNA量測定より少量で可能であり,薄切切片を得て,染色を行うことについては問題なかった. 今後,生検標本において核DNA量,AgNORs,PCNAを測定することが生検診断の精度をどの程度向上させうるのか検討を行ってゆく予定である.
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