研究課題/領域番号 |
08457430
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
大川 順正 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90073733)
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研究分担者 |
森田 照男 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50291612)
小倉 秀章 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60264496)
柑本 康夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50295820)
森本 鎮義 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20094683)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1996年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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キーワード | 腎結石 / 蓚酸カルシウム結晶 / MDCK細胞 / 結晶付着 / キャピラリー電気泳動 / 尿中高分子物質 / 細胞増殖 / MTT assay / ラット結石モデル / ゲンタマイシン / 尿中蓚酸 / 尿中クエン酸 / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
培養尿細管細胞(MDCK細胞)と蓚酸カルシウム結晶の付着・取り込みに関する定量的接触実験を確立した。形態学的に結晶付着は細胞間隙よりむしろMDCK細胞自身の表面に多く見れ、走査電顕像では単なる付着でなくendocytosisによる捕獲を示唆するものであった。こうした尿細管細胞と結晶の相互作用を、結石形成に至る初期過程の重要な現象のひとつとする考えを基本として、研究を進めた。 付着結晶量に影響する因子について、種々のglycosaminoglycanや界面活性剤を用いた細胞表面の前処理によって付着結晶量は有意に減少することを確認し、結晶特異性の検討では、MDCK細胞への付着よび細胞増殖促進作用は蓚酸カルシウム1水塩に特異的であることを認めた。 次に、ヒト尿が結晶付着に及ぼす影響について検討し、濃度依存性に結晶付着に対して強い抑制作用のあることが確認され、かつヒ結晶付着抑制は主として結晶側に作用することを明らかにした。そこで、ヒト尿中の結晶付着抑制物質の分離を試み、健常人尿を対象として、分子量約60,000の強い抑制活性を有する分画が分離された。結石患者尿と健常人尿における結晶付着抑制作用の比較では、有意差は得られなかったが、結石患者尿で抑制作用が強い傾向を認めた。 一方、高カルシウム食および蓚酸ナトリウム腹腔内投与によるラット結石モデルでの組織学的検討では、尿細管内に蓚酸カルシウム結晶沈着を見るが、大部分の結晶は尿細管腔に浮遊した状態よりも上皮細胞に付着したかたちで認められ、一部ではendocytosisと思われる所見が動物実験においても確認された。 以上の成果を踏まえ、尿細管細胞における蓚酸カルシウム結晶の付着に対するヒト尿の影響を検討するに当たって、既に知られているところの尿中結石関連因子の定量をキャピラリー電気泳動法によって検討し、尿中蓚酸およびクエン酸の同時測定を可能とした。ヒト尿による尿細管細胞への結晶付着抑制と、尿中結石関連因子との関連について今後も検討する予定である。
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