研究概要 |
内耳コルチ器支持細胞である、Deiters細胞、Piller細胞は支持作用を、Hensen細胞は何らかの分泌、つまりリンパ内容の調節を司っていると考えられている。 これらの細胞に対するPurinergic受容体の調節の可能性を明らかにするため、コルチ器を採取し機械的酵素的に細胞単離操作を工夫し、これら三種の細胞をコンスタントに採集できるようにした。 次にATP投与時の誘発電流及び細胞内遊離カルシウム濃度をpatch clampの手法を用いて測定した。その結果上記3種類の細胞いずれでも誘発電流とカルシウム濃度増加を認めた。この誘発電流は、nonspecific cationic channelの活性化によるものであり、一方カルシウム反応は細胞内カルシウムストアからの放出であることを明らかにした。それぞれP2x,P2y受容体由来の反応であることを明らかにした。Deiters cell,Hensen cellでは、この両者の反応のED_<50>が測定した。Hensen細胞では、カルシウム濃度増加は、カルシウム衣存性Clチャンネルにカップリングしていた。 次にこの2つの受容体の細胞内局在を知るため、細胞の一部のみATPを投与可能にする系を開発した。内有毛細胞に用い、P2x,P2yがそれぞれ内リンパ腔側、外リンパ腔側に分離して存在することを示した。 ATPは各細胞において異なる構成の反応を示していることから、内耳における音受容機構の調節系として重要な働きをしていると思われた。
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