研究概要 |
鼻アレルギー及び慢性副鼻腔炎患者の鼻粘膜を採取し、ムチン遺伝子と糖添加酵素遺伝子の発現を検討した結果、MUC1、2、4、5AC、5B、7の発現がみられ、MUC2、5AC、5B、7が発現している粘膜においては、シリアルトランスフェラーゼST-30(ST3 Ga1 Ia)の発現がみられた。しかし、フコシルトランスフェラーゼFuc-T III,IV,VI,VII,シリアルトランスフェラーゼST-3IV,ST-4とムチン遺伝子との発現の間には、何も相関がみられなかった。 次に慢性副鼻腔炎患者の鼻茸の上皮細胞を培養し、無刺激群とLPS投与群、ヒト好中球エラスターゼ投与群、LPS+2%血清投与群の4群につき、MUC1〜7及び3種のシアリルトランスフェラーゼと4種のフコシルトランスフェラーゼにつき、mRNAレベルを検討した。その結果、ムチン遺伝子の発現はLPS投与群において、上昇傾向がみられたが、有意の上昇ではなかった。一方、糖添加酵素遺伝子についてはFuc-TIV,VI,ST-4ではLPS+2%血清投与群及びヒト好中球エラスターゼ投与群で、有意に発現が亢進していた。ST-30ではLPS+2%血清投与群で亢進していたが、ST-3Nでは亢進はみられなかった。よってこの実験系においてはLPS+2%血清投与、及びヒト好中球エラスターゼ投与の刺激により、ムチンのコア蛋白質mRSAの発現は変化を受けなかったが、糖添加酵素遺伝子は変化を受け、その結果ムチンの糖鎖が変化している可能性がある。シリアルトランスフェラーゼ(ST-30)の局在を調べるため、鼻粘膜を用いてin situ hybridizationを行ったが、発現量が少ないためか、局在は明らかにしえなかった。
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