研究分担者 |
中村 二郎 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50207883)
稲富 昭太 滋賀医科大学, 医学部, 名誉教授 (90124742)
可児 一孝 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60068476)
吉田 健一 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (60273413)
林 理 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70303782)
青木 佳子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00222480)
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研究概要 |
functional magnetic resonance imaging(fMRI)に代表される脳機能画像の登場により,最近ヒトの大脳における中枢機構の研究が可能となってきた.我々はこのfMRIを用いて,高次視覚機能である視覚による空間認知,また眼球運動機能について研究を行った. まず,従来困難であったMRI装置内で適切な視覚刺激を行うために,視覚刺激装置を改良した.すなわち,液晶プロジェクタからの画像をイメージガイドとアイピースを介して被検者に伝達可能とした.またこの刺激装置は両眼分離刺激も可能にした.この装置とコンピュータプログラムにより立体視などの高次視覚刺激も可能となった.この視覚刺激装置を用いて,以下のようなfMRIの実験を行った. まず立体視機能の関連中枢の同定のために,ランダムドットステレオグラムによる視覚刺激でfMRIを施行した.得られた画像データをstatistical parametric mapping(SPM)で統計処理し,上頭頂小葉および中側頭葉皮質(middle temporal area,MT野)に賦活部位が見出された.また上下・左右の周辺視野で視標をランダムに点灯させ被検者にその位置を認識させて,衝動性眼球運動および滑動性眼球運動で視標を追尾させたところ,衝動性眼球運動では上頭頂小葉に,滑動性眼球運動では上頭頂小葉とMT野に大脳賦活部位が見出された.一方,左右画面内で互いに接近・離反運動を繰り返す視標を呈示して被検者に輻湊運動させたところ,上頭頂小葉およびMI野に大脳賦活が認められた. 以上の実験結果より視覚による空間認知には頭頂葉,特に上頭頂小葉が深く関与していることが示唆された.視覚刺激法の改良で,より複雑な刺激が可能となり,他の視野による空間認知についても実験を開始している.
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