研究概要 |
合着用レジン強化グラスアイオノマーセメント(以後RGIとする)の臨床使用術式を確立するための研究のー環として合着用レジン強化グラスアイオノマーセメントの短所を改善することを目的として,臨床使用条件が理工学的性質に及ぼす影響について検討した。 RGIの硬化挙動と関連のある物性のひとつとされている硬化途次の温度変化を知るためにISO4049歯科用レジンベース充填材料に提案されている温度変化測定法に準じて測定し検討した。すなわち,フジリュートおよび対照として用いたビスタイトレジンセメントでは、測定開始から急激な温度上昇を示し、ピーク温度到達後直ちに下降傾向が認められた。また、ピーク温度係留時間は比較的短い傾向があった。一方、Vitremer luting cementおよび対照として用いたフジ1では測定開始から緩やかな温度上昇傾向を示し,その後再び緩やかな下降傾向が認められた。また、ピーク温度係留時間は比較的長い傾向があった。また、硬化途次の温度におよぼす粉液比の影響は、いずれのセメントにおいても粉液比が大きくなればそのピーク温度は高くなる傾向を示した。 ついで,RGIを用いて修復物あるいは補綴物を合着する際、程度の差はあるものの、加圧条件下におかれることになる。この加圧条件が理工学的性質におよぼす影響を検討した。すなわち,RGIは填塞時の加圧によって,圧縮強さおよび曲げ強さは増加することが認められた。加圧に伴う硬化物内部の気泡の減少が機械的性能の向上に影響したものと考えられた。歯質接着強さでは,セメントの種類によって填塞時の加圧の影響を受けるものと受けないのものがあることが判明した。 平成10年度は,研究の最終年度にあたるので3年間の検討結果よりRGIの臨床使用術式についてのまとめの報告書を作成した。
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