配分額 *注記 |
7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
|
研究概要 |
申請者らは病理組織学的に扁平上皮癌と診断された患者を対象に、その生検組織、あるいは外科切除組織を用い、p53遺伝子の異常、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染について検索し、高頻度にp53遺伝子の異常、HPVの感染を認めた(Oncogene,12:1663-1668,1996)。また、噛みタバコの習慣のあるスリランカの口腔癌、前癌病変(International Journal of Cancer,77:839-842,1998)、DMBA誘発ハムスター頬粘膜扁平上皮癌、前癌病変(日本口腔外科学会雑誌,42:347-362,1996)についても同様の検索を行い、それぞれの遺伝子異常の相違について検討した。その結果、スリランカの口腔癌ではp53遺伝子のエクソン5に遺伝子の一部欠失を含む比較的大きな遺伝子異常が数多く認められた。これは日本人の口腔癌やDMBA誘発ハムスター頬粘膜扁平上皮癌ではあまり認められず、噛みタバコ中にp53遺伝子のエクソン5に特異的に異常をきたす因子が含まれていることを示唆している。このように遺伝子の特定の部位に異常が集積することから噛みタバコ中の特定の成分が発癌物質としてp53遺伝子をはじめ、他の遺伝子の特定の部位にも異常をきたしたり、修復障害をきたすという可能性が示唆された。このp53遺伝子の異常を同定する方法として新たにyeast functional assayを導入し、より簡便、正確な診断を可能にした(Oncogene,15:2667-2674,1997)。さらにras遺伝子群についてもMASA (mutant allele specific amplification)を用いて詳細に検討を行い、DMBA誘発ハムスター頬嚢粘膜癌では比較的早期に異常が起こっていることを明らかにした(日本口腔外科学会雑誌,44:925-930,1998)。またこれらの異常が癌化のどの段階で起こっているか、また、前癌病変の癌への「なりやすさ」、クロナリティを判定するために、多重病変を有する患者の癌組織、あるいは前癌病変の組織を用いて遺伝子変異、染色体上の変異を検討し、公表した(第90回米国癌学会)。
|