配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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研究概要 |
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の重複潜伏感染の存在を明らかにする目的で,臨床ウイルス学的に検索し,次のような結果を得た. 1) 感染病巣からの分離株10株ならびに唾液からの無症候性排出ウイルス分離株12株のウイルスクローンの分離株につき,DNAパターンを比較し,無症候性排出群で12例中1例に異るパターンがみられ,複数株の同時再活性化が示唆された. 2) 感染症ウイルスと無症候性排出ウイルスとの生物学的性状を接種後17時間目の放出ウイルス量と増殖曲線で比較したところ,両群の放出ウイルス量に差が見られ,増殖曲線のパターンにも違いが見られた.すなわち,無症候性排出ウイルス群で感染症ウイルス群より放出ウイルス量が低く,また増殖曲線で前者が18時間後にピークに達し,急激な減少を示したのに対し,後者では15時間後にピークに達し,その後徐々に下降し,増殖能に差があることが明らかとなった. 3) 病巣から分離された感染症ウイルスと唾液中への無症候性排出ウイルスのマウス角膜へのウイルス接種による潜伏感染実験で,接種前ウイルスと活性化ウイルスのDNAパターンを比較した.単一株接種では全て同じものであったが,左右に異る株を同時に接種した場合と混合ウイルスを接種した場合に,活性化ウイルスは全て感染症ウイルスであった.このことより,HSV-1の重複潜伏感染で再活性において優先株が存在することが明らかとなった.
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