研究課題/領域番号 |
08457629
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
服巻 保幸 九州大学, 遺伝情報実験施設, 教授 (90128083)
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研究分担者 |
岩城 明子 九州大学, 遺伝情報実験施設, 助手 (30253454)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / グロビン遺伝子 / サラセミア / AAV / インスレータ / HbE / アンチセンス / スプライシング / アンセンチ / 赤芽球 / 転写 |
研究概要 |
1. 遺伝子導入系の開発 AAVベクターを用いて、赤芽球系培養細胞を対象に発現効率の高い、加えて挿入部位によらない一定した発現系の確立を行った。グロビン遺伝子の組織及び時期特異的な発現に関与するLCRを構成する3箇所のDNaseI超高感受性部位(HS2,3,4)を種々に組み合わせ、ヒトβグロビン遺伝子に連結した組換えAAVを作成した。ネオマイシン耐性遺伝子も同時に組み込んだ。MEL細胞に感染後、ネオマイシン耐性株を単離し、ヒトβグロビン遺伝子と内因性のマウスβグロビン遺伝子の発現を比較したところ、挿入部位に存在しない発現が得られないことが分かった。そこでニワトリのβグロビン遺伝子群で同定されたインスレータのコア配列を2個タンデムにつなぎ、これでHS2に連結したβグロビン遺伝子を囲み、組換えAAVを作成した。これをMEL細胞に感染させクローンを単離し、その中でプロウイルスゲノムがインタクトな5個のクローンを単離しグロビン遺伝子の発現を検討した。インスレータを持たないHS2では発現がクローン間で6.1%から172.1%と広がりがあった。一方インスレータを組換えたウイルス由来のクローンでは発現が52.8%から58.3%で、発現の平均は56.2%と挿入部位によらない発現が見られた。以上からこのインスレータを組換えた組換えAAVベクターは遺伝子治療に有効な系であると結論した。 2. 分子病態の修復 点変異(HbE変異,IVS-2内654位変異)が来す選択スプライシングのアンチセンスオリゴによる抑制効果をin vivoで検討するために、正常および各変異グロビン遺伝子をHeLa細胞にトランスフェクションして得られたステーブルトランスフォーマントを用いて検討した。0.4μMの濃度の18塩基のアンチセンス-2^1-0-メチル オリゴリボヌクレオチドをリボフェクション法で導入後、36時間までの30%程度の異常スプライシングの低下を認めた。またHbE変異による異常スプライシングを抑制するために、スプライシングの際ドナー部位の選択に関わっているといわれているSF2/ASFの強制発現による効果をトランジエントおよびステーブル両系で検討した。その結果前者では30%の低下が見られた。ステーブルなSF2/ASFの発現細胞4株において、SF2/ASFの転写量と異常スプライシングの抑制効果とが相関しており、内因性のSF2/ASFの1.46倍の量で抑制効果が約20%であった。
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