研究概要 |
繊維成品の安全性を高めるための加工の一つとして、火災や火傷を防ぐ難燃化がある。最近では種々の難燃性繊維や加工方法が開発されてきた。 ここでは、難燃性繊維試料としてポリクラール(略PC),PBI(略PB),難燃強化モダクリル(略PT)、および易燃性繊維として木綿をとりあげ、各100%及びこれらの繊維の混紡率を変化させて構成した編物について実験を行い、繊維の種類と混紡率が難燃性に及ぼす効果を検討した。 まず難燃性の指標とされる酸素指数(OI)を酸素指数測定装置により測定した結果、OIはPBが36.0と最も高く、PCが30.7、PTが29.8であった。混紡試料については、難燃性繊維同士の場合は50%混紡率で最高のOIを示した。難燃性繊維と易燃性繊維の混用では易燃性の木綿を25%混紡するとOIはやや高くなるが、さらに木綿の比率が増加するとOIは著しく低下した。 OI濃度気流内における各試料の燃焼速度を、ハイスピード ビデオカメラで継時的に撮影した映像から求めた。その結果、OI値の高い試料ほど燃焼速度が遅いことを確認した。 またOI濃度気流内における燃焼生成ガスについてガスクロマトグラフによる定量分析を行った。1m^3の空気中で1gの試料が燃焼した時に発生するCO濃度は、PBが51.4ppmと最も高く、PCが32.2ppm, PTが25.6ppmであった。混紡試料では、各難燃性繊維に易燃性の木綿を25%混紡するとCO濃度は増加するが、これより木綿の混率が高くなるとCO濃度は徐々に低下した。 難燃性繊維の混紡では混率50%において高いCO濃度を示した。HCNはPBおよびPTの燃焼ガスにおいて検出され、両者の混紡試料ではその濃度が顕著に高くなった。これら燃焼ガスの生成濃度に及ぼす試料構成繊維の種類やその混紡率に影響は、分散分析によりいずれも有意であることが認められた。
|