研究概要 |
伝統的に食品を包む素材として用いられてきた植物を中心に、食品保存に有効性を発現する成分の解明を行った。関西および沖縄において11種の植物を採集し、極性の異なる各種溶媒で抽出して、酸化抑制活性と抗菌活性を測定した。 リノール酸の自動酸化に対する抑制活性をロダン鉄法、TBA法で測定し、すべての植物の酢酸エチル可溶部と水可溶部にα-トコフェロールにより強い抗酸化活性を認めた。水可溶部についてはESRを用いてスーパーオキシドアニオン捕捉活性、DPPHラジカル捕捉活性を測り、いずれの植物にも活性を認めた。ヨモギからは抗酸化成分としてカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸関連化合物を単離、構造決定した。 抗菌性に関しては、カキの葉のアセトン抽出物から虫歯菌(Streptoooocus mutans)に抗菌活性をもつケンフェロールを単離した。3種のmutans菌、2種のE.coli 、B.subtilis、S.aureusに対しても抗菌性を示し、そのうち6種に25〜50ppmのMICを示した。イリオモテクマタケランの各抽出区分はE.coli、S.aureusに抗菌活性を示した。活性成分を各種クロマトグラフィーで精製し、機器分析で構造解析した結果、新規化合物1-(2,4,5-trimethoxy-E-styryl)-2-(2,4,5-trimethoxy-Z-styryl)cyclobutane を含む4種の化合物を決定した。これらの化合物はいずれも5mMで活性を示し、2,4,5-trimethoxybenzaldehyde、2,4,5-trimethoxycinnamaldehyde はS.aureus に強い活性を示した。 伝統的に食品に用いられてきた植物の葉には優れた抗酸化性、抗菌性があり、その有効成分をいくつか明らかにし、これが応用面で有効に活用できる示唆を与えることができた。
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