研究概要 |
文科系大学における教養としての理科教育は,必要とされているにもかかわらず大きな困難を伴う.何らかの理由で理科離れした学生が多いことや必然的に入試に重点をおいた学習をしているため,前提となるべき学生の基礎学力は欠如しており,大学で特別に「補習的な予備教育」を施す必要がある.本研究開発はその種の教育を支援する,ネットワークを利用した「教育支援システム」の構築を目指した. 初年度は,学内に設置された「学内LAN」上に教育用サーバ(教育システムの枠組み)を構築した.教育システムのOSとしてUNIXを採用することで,World Wide Web(WWW)で発展してきている電子メールや電子掲示板などの諸技術を活用できるようにした.本システムは,本質的にインターネットを通じて全世界と繋がったものではあるが,受講生を特定し,その学習進度等をチェックする機構を独自に付加した.ここまでの成果については,96年化学ソフトウエア学会(立教大学)で発表し,さらに同学会論文誌J.Chem.Softwareに「ネットワーク新時代に対応した新しい講義システムの試み」と題して発表した. 最終年度は,教育システムに搭載すべき教育的内容の開発を集中的に行った.教育の内容が物・化・生・地の広い範囲に亘るため,分野によって教材の性質が異なるが,とくに物理と化学分野に関しては,Javaを活用することでシュミレーションや3D動画による教材や対話性を強化した教材を開発した.その成果は,97年化学ソフトウエア学会(大阪府立高専)で発表し,さらに同学会論文誌に「ネットワーク新時代に対応した新しい講義システムの試み(2)」と題して発表予定(印刷中)である.
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