研究概要 |
本研究の目的は、将来の高度科学技術社会に求められる『クロス・カリキュラム』としての新たなカリキュラムの目的,構造,授業内容,運営のあり方を検討しつつ,その成立要件を探ることにある。 この目的のために,私たちは,まず,クロス・カリキュラムの定義,運営,評価などの幾つかの基本的な課題について理論的に検討した。具体的には,クロス・カリキュラムの先進国であるイギリスのホール・カリキュラムとクロスカリキュラァ要素との関係を事例として詳細に検討した。次に,わが国における先進校である神戸大学発達科学部附属明石中学校の授業実践「環境・国際理解学習」の9つの単元を9カ月間にわたって調査した。調査は,VTRにおける授業記録,教師及び生徒を対象とした質問紙調査であった。分析の視点は,クロス・カリキュラムにおける授業のあり方と運営上の問題であった。以上の結果,クロス・カリキュラムの成立要件としては,次のことが明かとなった。 1.カリキュラム編成の弾力化をはかること:年間の総授業時数,科目毎の授業時数などに弾力的な運用幅を持たせる 2.教育内容の自由度を拡大すること:情報,環境問題,科学技術の進歩などのSTS的な諸問題を取り扱うような教育内容を整備する 3.教師のチームワークを強化すること:関連する教科の教師間のコミュニケーションを緊密にする
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