研究概要 |
この研究では,コンピュータ上で体験できる3次元仮想空間の構造理解と利用者の行動様式の解明を目的としている。 平成8年度は、オープンスペースに着目し、その形状・配置が大きさの認知にどのような影響を与えるのかを実験を通じて分析した。その結果、進行方向に向かって長いスペースの方が大きく認知されること、大きさの認知は頭の中の蓄積された面積が効いていること、などがわかった。平成9年度では、コンピュータ上の3次元空間内に迷路を発生させ,空間情報の与え方を変えることによって,迷路内を人間がどのように動くのかを追った。その結果、空間情報を提供する媒体の中でも地図、とくに,位置,距離,方角,といったさまざまな空間情報が盛り込まれていると有効であることがわかった。また、迷路内を歩く人にとって、現在位置と目的地との距離とその方角がもっとも重要であることもわかった。 平成10年度では,VRML(Virtual Reality Modeling Language)によって構築された擬似的空間の中で、人間に空間オブジェクトを動かしてもらう実験を行った。ここでは,簡単な空間操作にとどめ,擬似的に構築した京都竜安寺の石庭の中で,二人の人間が互いに指示を出し合いながら個々の石を動かす様子を観察した。その結果以下のようなことがわかった。(1)右・左などの方向指示は容易だが,その程度の指示を出す伝達手段が必要である。(2)擬似的都市空間における空間操作伝達には,まだまだ課題が多いものの,現段階でもこの技術を都市計画策定過程に導入する意義は大きいこと,などである。
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