研究概要 |
この研究では、最近、素粒子物理や原子力工学、宇宙関連において、高感度でありながら特にエネルギーの高い放射線に耐えられる無機材料として注目を浴びているCeF_3を中心に他のシンチレーション用結晶との混晶、不純物の添加などを試み、CeF_3を越える高耐久性、高効率の放射線検出器を開発する為の基礎物性データを得ることを目的としている。初年度で誘導加熱型SITインバータ-の電源変換ユニット部分、及び精密温度制御のためのアナログコントローラーを科研費で導入し、新たに高電力電源系の整備、冷却水循環ポンプシステムをつくりあげ、完全稼働状態に入れた。自前で単結晶を供給できるということは、素性のわからない試料を他から購入せねばならない環境と異なり、試料製作の細かい仕様、条件を自由に設定できる利点がある。製作された単結晶の高エネルギー放射線(10^5〜10^8rad)に対する耐久性性能テストは、地理的に近い距離で、研究用の強い線源(コバルト60)を保有している都立産業技術研の協力を得て、CeF_3,希土類を含むCeF_3及びCsI,希土類を含むSrF_2及びBaF_2と,これらの混晶に対して行い、生成された着色中心の同定の実験データを得た。これまでの磁気共鳴、蛍光測定システムを結合して光検出を目的とした磁気共鳴の手段を完成させる目的で、変調コイル付きESRキャビティー、及び光学窓付きESRキャビティーの2点を購入した。論文については、“SrF_2-BaF_2混晶系中のEu^<2+>イオンのルミネセンスに関する輻射から無輻射遷移過程"の表題で発表し、“アルカリ土類蛍石型混晶系中のEu^<2+>イオンで安定化されたV_κセンターのX線励起発光スペクトル"については投稿中である。
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