研究概要 |
1.コリシンE3,E4,E6のC末端ドメインE3C,E4C,E6Cと,E3Cの活性中心変異体(E517Q),およびそれぞれのインヒビターImmE3,ImmE4,ImmE6と,E3耐性を獲得したImmE6点変異体(W47C)を精製し,各Cドメインのリボソーム失活活性,リボソームの結合特性,Immとの結合特性といった分子レベルでの特異性を,各imm遺伝子の各コリシンに対する耐性度(免疫性)という生物学的特異性と対照させた.まず,E4CとE6Cはいずれもリボソームに対しE3Cと同一の作用様式を持つことを明らかにした.さらにC/Immの解離平衡定数Kdが10^<-8>M以上ではコリシン感受性となり,効果的な1アミノ酸置換でKdは1桁小さくなって辛うじて耐性を獲得すること,この閾値は,Immと結合が競争関係にあるリボソームとCドメインとのKdが規定していること,またKdは結合ではなく解離の速度定数だけで決定されていることが判明し,正しい複合体では大きな構造変化の起こっている可能性が考えられた. 2.NMRによりE6CとImmE6の立体構造を決定した.E6Cは逆平行5本鎖βシートを骨格とし,β3-β4上に活性中心があり,シートに対して裏側のβ1-β2のループの付け根に特異性決定基がある.ImmE6は先に決定していたImmE3に似て,逆平行4本鎖βシートとループから成り,特異性決定基はシートの端に存在していた.chemical-shift perturbationでE6C,ImmE6両分子の結合面を同定した.さらに遺伝学的に推定していた特異性決定基,E6CのA496とImmE6のW47間に分子間NOEを観測し,これらが直接相互作用していることがわかった.また遊離のImmE6分子上では,二つの特異性決定基H5とW47間に側鎖間NOEを見出し,協同性が推定された.
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